妊娠の成り立ち

妊娠が成立するためにはまず このように、妊娠が成立するためには、1~6までの一連の現象が順調に行われる必要があります。

原因不明不妊

不妊症とは、妊娠の成り立ちのどこかに障害が起こっているために妊娠が起こらない状態と考えられますが、現在の医療では、妊娠成立の仕組みがすべて解明されているわけではありません。

このため、約10%の患者さんが原因不明不妊と診断されています。しかし、医療の進歩とともにこの割合は減少しつつあります。

基本検査

  • 内 診

    子宮や卵巣、骨盤内の異常の有無(子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、卵巣のう腫等)がわかります。
  • クラミジア検査

    クラミジアは卵管の炎症を引き起こす代表的な菌です。感染してもほとんどは無症状で、子宮から卵管、そして腹膜へと炎症が広がり、不妊の原因になることがあります。

    クラミジアの検査には、血液から感染したことがあるかをみる抗体検査と、直接子宮頚管にクラミジアがいるかをチェックする抗原検査の2通りがあります。
  • 一般採血

    卵巣に関連するホルモン以外で、排卵障害の可能性となる異常がないかを検査します。
  • ホルモン検査(採血) … 1

    卵巣の機能をチェックするために、脳下垂体から分泌されるLH、FSH、プロラクチンおよび、卵巣から出る女性ホルモンを測定します。
  • 子宮鏡検査 … 2

    子宮内膜にポリープなど着床障害の原因となる異常がないかを調べます。
  • 子宮卵管造影 … 3

    月経の終わりかけぐらいから排卵前に行う検査です。

    造影剤を使用して子宮内腔の形に異常がないか、卵管が通っているかなどを調べます。
    事前にクラミジア検査を済ませている必要があります。
  • 経腟超音波検査 … 4-1

    子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮奇形等子宮の状態や、卵巣のう腫等卵巣の異常の有無を調べたり、卵胞径や子宮内膜厚の計測をします。

    排卵日付近に子宮の内膜は厚くなり、着床への準備を整えます。

    また、卵子の入っている卵胞は20mm程に大きくなります。これらを超音波でチェックし、排卵日を推測します。
  • 頚管粘液検査 … 4-2

    排卵日近くなると子宮の出口から頚管粘液が分泌され、精子が子宮内に侵入するのを補助します。この分泌状態を調べます。
  • 尿中LH … 4-3

    LHは排卵が近づくと一過性に急激な増加を示し、その約36時間後に排卵する確率が高くなります。

    尿中にこのLHがどのくらい分泌されているかを検査し、排卵日を推測します。
  • 黄体機能検査 … 5

    卵子が排卵された後の卵巣には黄体ができ、黄体ホルモンを分泌します。

    黄体ホルモンは子宮内膜を厚くし着床を促します。そこで排卵後に超音波で子宮内膜をチェックし、血液検査で黄体ホルモンを測定します。
  • 精液検査 … 6

    精液の量、1mlあたりの数、運動率を調べます。

必要に応じて行う検査(下記以外の検査を行うこともあります)

  • 基礎体温

    排卵後に分泌される黄体ホルモンにより体温は上昇します。自宅でできる簡単な検査で、排卵の確認などに使えます。

    ただし、体温はホルモンの影響以外でも大きく変動しますので、1日ごとの温度を気にする必要はなく、全体の変化をみてください。

    また、基礎体温で排卵日を予測することはできませんし、振り返ってみて排卵日を特定できることもありません。
  • 抗精子抗体(自費)

    女性の体内に精子に対する抗体があると、精子は頚管粘液内で動けなくなってしまいます。この抗体があるかは血液検査でわかります。
  • 精子特性分析検査(自費)

    CASAというコンピュータで、精子の速度など動きの詳細を解析する検査です。
  • AMH(自費)

    AMHは前胞状卵胞内の顆粒膜細胞で主に作られるホルモンです。FSHと合わせて行い、卵巣の予備能力の評価や、排卵誘発剤に対する反応を予測することができる血液検査です。

    「卵巣年齢」とよばれたりしますが、実際は卵子の老化の程度や卵子の質がわかるわけではなく、妊娠しやすさが判明する検査ではありません。
  • LH-RHテスト・TRHテスト

    下垂体の機能に関する精密検査です。
  • 男性ホルモン・インスリン

    多嚢胞性卵巣症候群を疑う場合等に検査します。

タイミング法

経腟超音波検査による卵胞径や子宮内膜厚の計測、尿中LH検査、子宮頚管粘液の状態の観察などにより排卵日を推測し、タイミング指導をいたします。

タイミング指導はあくまで排卵日を予測しているのにすぎないので、不妊症でない人が自然よりも少し早く妊娠できる方法です。不妊期間がまだ短く不妊かどうかわからない方などに向いています。

人工授精(AIH)

排卵日に合わせて、ご主人に精液を採取していただき、精液を調整して良好な運動精子を選別し、細いチューブを用いて子宮内に注入する方法です。

精液検査で軽度の異常がある、フーナーテストが不良である、性交障害があるなどの場合に適応となります。

子宮に精子を入れるところまでが「人工的」で、そのあとは自然妊娠と同じです。

当クリニックでは良好運動精子をできるだけ多く回収するために、専用の精子調整液を使用して遠心分離、洗浄濃縮後に人工授精を行っています。

人工授精では通常、痛みを感じることはほとんどなく、実施後はわずかな時間の安静で帰宅できます。出血が少量ある場合もありますが、まず心配いりません。

人工授精の妊娠率は女性の年齢や精子の状態により大きく異なります。しかし、人工授精で妊娠した方の9割以上が人工授精5~6回までに妊娠をされています。

3~6回を実施回数の目安とし、とくに女性の年齢が高い場合は、回数にこだわらず早めにステップアップを検討する必要があります。

当クリニックでは、精液の取り違え防止のため、同一時間に精液の持ち込みが重ならないよう、時間を指定させていただいております。

体外受精など高度生殖医療(ART)

人工授精でもなかなか妊娠できない場合や、卵管が両方つまっている場合、重症の男性因子の場合は、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療とよばれる治療が必要となってきます。

詳しくは体外受精など高度生殖医療(ART)をご覧ください。

一般不妊治療・人工授精

一般不妊治療管理料
(3ヶ月に1回)
750円
人工授精 5,460円

1.生殖補助医療

生殖補助医療管理料
(体外受精周期毎)
900円
排卵誘発剤:実費(保険) 約10,000~20,000円
超音波、ホルモン検査(保険)
※1周期3回程度
1回 4,000円

2.採卵

採卵基本料 9,600円(0個の場合)

採卵毎に下記を加算

1個 7,200円(合計 16,800円)
2個~5個 10,800円(合計 20,400円)
6個~9個 16,500円(合計 26,100円)
10個以上 21,600円(合計 31,200円)

(麻酔は別途)

3.受精法

3-1. 媒精(ふりかけ) 12,600円(個数にかかわらず)

3-2. 顕微授精(ICSI)

1個 14,400円
2個~5個 20,400円
6個~9個 30,000円
10個以上 38,400円

※両方実施の場合は顕微授精+媒精の半分(6,300円)

4. 受精卵培養(採卵翌日から:受精した個数毎)

1個 13,500円
2個~5個 18,000円
6個~9個 25,200円
10個以上 31,500円

5. 胚盤胞加算(胚盤胞培養個数)

1個 4,500円
2個~5個 6,000円
6個~9個 7,500円
10個以上 9,000円

6. 胚移植

新鮮胚移植 22,500円
(AHA/GLUE込:28,500円)
融解胚移植 36,000円
(AHA/GLUE込:42,000円)

※AHA(アシステッドハンチング)3,000円

※GLUE(ヒアルロン酸培養液添加)3,000円

7. 胚凍結保存

1個 15,000円
2個~5個 21,000円
6個~9個 30,600円
10個以上 39,000円

【例1】刺激周期(採卵 5個、全て媒精、新鮮胚移植 1個、余剰胚凍結 1個の場合)

生殖補助管理料 900円
採卵 5個 20,400円
媒精 12,600円
培養(仮:3個) 18,000円
新鮮胚移植 22,500円
胚盤胞(2個) 6,000円
凍結(1個) 15,000円
薬剤、ホルモン検査、超音波 約20,000円
合計 約120,000円

【例2】刺激周期(採卵 10個、媒精 5個、顕微授精 5個、全胚凍結 5個の場合)

生殖補助管理料 900円
採卵 10個 31,200円
媒精 6,300円
顕微授精 20,400円
培養(仮8個) 25,200円
胚盤胞(6個) 7,500円
凍結(5個) 21,000円
薬剤、ホルモン検査、超音波 約20,000円
合計 約140,000円

※回数のカウントは、「移植」までした場合を基準とし、「採卵」の回数ではありません。


※高額療養限度額制度を利用した場合は還付あり

不妊治療費助成制度

この制度は、医療保険が適用されず高額の医療費がかかる特定不妊治療(体外受精・顕微授精)を受けられたご夫婦に助成金が支給される制度です。

当クリニックは北海道の特定不妊治療助成医療機関に指定されています。
また、北海道以外に在住の方も、指定する医療機関であれば申請可能としている自治体は多数あります。
詳しくはお住まいの地域の自治体にお問い合わせください。